セックスボランティア

河合香織著 新潮社
障害者と性に関するノンフィクション。性の介護・介助の実態はどういうものか教えてくれる。性というものは人間の基本的な欲求だから、なんて話でもあるんだけど、呼吸が出来ないほどの障害を持っていてもセックスはしたい。ボランティア(普通のね)の話を聞いてると、だんだんディープな話になってていつのまにか「障害者の性」の話になってることがよくあるけど、実際介護の現場では、障害者の性というものを考えるというのは表に出てこないけどかなり重要なことだ。この本では書かれていないけど、実際はもっと精神的に酷い話やキツイ話も聞いたんだろうなあと思ったりする。本では人と人の結びつきに焦点が当てられてるけど、結びつきのない性だってあるだろうし、時々報道されるような事件も起こったりする。報道に対して「だから障害者は!/そんな施設は!」とか単純に怒ったりするのではなく、もっと多角的に性を考える必要があると思ってるのだけど、その多角性の嚆矢となって欲しい本でもある。マスターベーションとは何か?性行為とは何か?とか考えてしまうような話でもある。